今回は、ベトナムで飲食店開業を考えている方向けにJAPOの阿部さんにお話を伺いました。阿部さんの優しい笑顔と温かな人柄を感じられ、その一言一言からはJAPOに対する熱い思いが伝わってきました。
本題に入る前にベトナムで飲食店を開業するまでの流れを簡単にご説明します!
1. 出店したいエリアを検討
ホーチミン市で日本人が多く飲食店を出店しているエリアは、1区の「リトルジャパン」、2区のタオディエン地区、7区のフーミーフン地区です。これらの地域は日本食を求める人々に人気があります!
2. 資金送金
3. 法人設立
4. 物件探しと不動産契約
5. 内装工事
6. ライセンス取得
7. 人材募集
8. 労務
9. 営業までの準備
10. オペレーション(プレオープン)
11. 開業
競り人からIT、そしてベトナムへ──飲食とは無縁だった男の現在地
インターン生
阿部さんの経歴について教えていただけますか?
阿部さん(以下:阿部)
1998年から日本のIT業界におりました。何社か経験していますが、ソフトバンクに勤務し日本のIT黎明期にいろいろな経験をさせていただきました。
そこで行っていたサービスが吸収合併されたことでYahoo! JAPANに入社しました。
その後は転職し、ITコンサルタントとして働いていました。
2000年に韓国との共同事業を立ち上げ、その後中国、インドでITの開発拠点を作るためにパートナー探しにも行っていました。
まだベトナムには住んではいませんでしたが、2007年から頻繁に行っていましたね。
ちなみにIT業界の前は魚市場の競り人をやってまして(笑)
人生何があるかわからないものですよね。
インターン生
そうなんですね。ベトナムはいつごろから住み始めたのですか?
阿部
2007年から半分ベトナム、半分日本の生活をしていました。
ベトナムの元気の良さを体験すると帰国する時に日本は静かだなと感じます。
その静かさに耐えきれなかったので2011年にベトナムに移住することになりました。
「日本が好き」だけじゃ足りない──想いを行動に変えた瞬間
インターン生
ベトナムでJAPOを設立した経緯を教えてください。
阿部
ベトナムの方は日本のことが好きだということは知られていますが、日本のことをあまり知らないんですよね。
日本が好きだという方に何を知っているかお聞きすると、ドラえもん、富士山、安倍晋三さん、パナソニック、天ぷらとか、いわゆるThe外国人的な単語くらいしか出てこないんですよね。
残念ながら。
それと驚かされたのが韓国です。
私がベトナムに来た頃ベトナム人にはあまり好まれていませんでしたが、韓流ブームが起きて今は行きたい国上位に入る国になりました。たかが10年程度での話です。
これってすごいことじゃないですか。メディアの力はすごいなと思いました。
もし日本人が情報発信しないと私達の先輩が作った親日国との関係が崩れるんじゃないかと考えて2016年に正しい日本のことを伝えるメディアとしてJAPOをスタートさせました。
韓国が良い悪いではなく、親日感情を再燃焼させるためです。
インターン生
JAPO設立当初はどのような活動をしていましたか?
阿部
2016年、最初にWEBメディアを始めました。
その後、2017年に訪日のテレビ番組を制作。
栃木県、宮城県、大分県別府市のみなさまと共に訪日プロモーションをさせてもらいました。
2018年からは雑誌もスタートし、2024年からはリアルイベントも実施スタートとなります。
インターン生
現在はどのようなツールで日本を知ってもらう活動をしていますか?
阿部
現在ベトナムではインターネット・雑誌・テレビ・リアルイベントを使って多くのベトナムのみなさんに日本のことを知っていただく活動をしています。
ベトナム以外でもインターネット版のみですが、カンボジア、ミャンマー、中国、日本(英語版)、韓国(準備中)、フランチャイズという形で、多くの国に展開しており、2024年中にさらにもう一カ国追加をしたいと考えています。
またこれと同時に、日系企業のみなさまの海外進出のお手伝いをさせていただいています。
やりたいことをやるために、会社をつくった──起業という選択
インターン生
そもそもなぜ起業しようと思ったのですか?
阿部
やっている人がいないからやりました。経営者になりたかったわけではないのです。
やりたいことをやりたいだけで、それが許される会社がなかったのでしかたなく企業しました。
わがままなんですよね。
散々好き勝手やらせていただき、多くの方にご迷惑おかけしてきたので、これ以上迷惑かけられない。(笑)
それならば自分で責任を持ってやろうと決めたからです。
インターン生
そんな事があったんですね。ベトナムでビジネスをはじめたきっかけを教えてください。
阿部
もともとは海外に住むとか、海外で仕事をするとか、そんなイメージは全くアリませんでした。
起業することも全く想像外です。
大人しく(?)日本サラリーマンとして働いていた当時、働いていた会社の業務でベトナムと日本を行き来していましたが、リーマンショックの対応をめぐり、日本とベトナムどちらを取るか、という選択を迫られ、勤務先の代表との意見に食い違いが起きた結果、「それなら私はベトナムに行きます。」と言ったので起業をするしかなかったというのが実態です。
世界に伝えたいのは“日本のカタチ”ではなく“考え方”──JAPOが挑む情報発信
インターン生
JAPOのサービスについて教えてください。
阿部
JAPOは日本が気になる人や気になる外国人の方に向けて日本の情報を伝えるメディアをやっています。
世界からの日本の注目が集まり、日系企業のみなさまが海外進出しやすくすることを目指しています。
インターン生
JAPOではどういった内容を伝えていますか?
阿部
よく競合が多いでしょうと言われますが、私はそうは思っていません。
日本の情報を伝えるメディアは現地の人が結構やっているのは確かです。
アニメやコスプレ、ニュースの話であればどこでも手に入りますが、文化や考え方、価値観を伝えているは見かけません。
いくら日本が好きでも外国の方には中々できない部分です。
そして日本人でもやられている方をあまり見ない。もしくは続いていない。
ではここをメインに取り扱っていこうと考えたのです。
これらは真面目にやれば教科書のように面白くないものとなりますので、いかに面白く伝えることで興味を持っていただけるか、を最重要ポイントとしています。
インターン生
それらを伝えようと思った経緯はありますか?
阿部
私はミャンマーにも会社があるのですが、今はまともな状態とは言えません。
私の友人や社員でも捕まった人がいます。
とても悲しいことですし、他の国も含め、再発させてはならないと考えました。
ではどうしたら世界中が平和になるのかなと考えた時に、利益を独占しようとする人のことが頭に出てきました。
世の中のバランスを崩している思想がこれだと。だ
この考えをなくしていくことで、世界がもう少し平和になるのかなとか思ったのがきっかけです。
日本が元々考えていた、共存共栄という考え方。
私が大好きな思想です。
これを世の中に広めていきたいと思っています。
そのため、その根源となる日本人の考え方を伝えていくことにフォーカスしています。
この共存共栄という考え方を世界中の人に伝えていき、ほんの一握りの人たちに理解してもらうことができたなら世の中が少し変わってくるかなと。
現状、JAPOは儲かるビジネスとは言えません。
コロナ禍の赤字も恐ろしい事になりました。、でも”止めてはいけない”と思ってやっています。
利益より大切なものを世界に伝えたいというのがコンセプトなのですから。
インターン生
なるほど。具体的にどのような人をターゲットとして考えていますか?
阿部
大きく分けて2つのメインメディアWebと雑誌でターゲットを分けています。
インターネットは世界中の人をターゲットに御覧頂いています。雑誌はフリーマガジンですが、製本にもお金をかけて作成しているので道端では配らずオフィスで働く人たちをターゲットとしています。
インターン生
そうなんですか!その理由を教えていただきたいです!
阿部
例えばダナンにある日系ホテルの三日月ホテルがありますが、興味を持ったとしても行くことができない方がまだまだ多いのがベトナムです。学生もそうですね。逆にオフィスで働いている人は中間層以上で行こうと思えば行くことができるだけの収入となってきました。雑誌は費用対効果を考えて配布部数よりも配布の質を上げることを考えているからです。
本来ならできるだけ部数を増やし、全員に読んでいただきたいところですが、コスト面から考えればそれは非効率、と判断したからです。
インターン生
実際に雑誌を見て行かれた方はいますか?
阿部
そうですね、三日月ホテルに行った話は、私の知り合いから何度も聞きましたよ。
ただ、誰がどこに行ったのかということは雑誌という媒体の特性上、データが取りにくいため、すべてを追えているわけではありません。
インターン生
雑誌の中の人気コンテンツを教えてください。
阿部
日本語を勉強しているベトナム人の方も多いので、学校では教えてくれない日本語を教えるエンタメコンテンツは結構ウケがいいですね。
日本人の分かりにくい所である「また今度ね。のほんとうの意味は?」「I love youと言えない日本人」というコンテンツは反応が良かったです。
なぜ日本人はこういうのか、というところに日本人の本来の思考が隠れています。
ここまでセットで伝えることで納得感と面白さを感じていただけているのではないかと想います。
JAPOが支える、ベトナム飲食開業のリアルな流れ
インターン生
飲食店開業の流れについて教えていただきたいです。
阿部
まず、会社を作らないといけないですよね。
JAPOの場合だと丸ごと任せていただいて登記住所もJAPOの住所を使って会社を作ってしまいます。
会社ができるまで時間がかかるのでその間に一緒に物件探しをします。
内装工事も弊社の子会社でイベント関係の設営を行っている会社があります。
その会社もご紹介させていただきますし、別が良ければ別の会社も含め、皆さんにご判断いただき、内装工事を行います。
最終的にお店が完成して、保険所のチェックが受ける。
その後、数日間オペレーションを試します。
そこでスムーズにオペレーションができればオープンをします。
その後は集客のためにやはりJAPOで宣伝ですね。
インターン生
ものすごくスピーディーな対応ですね。何かそのスピーディーにする理由があれば教えていただきたいです。
阿部
ベトナムは飲食に限らず、日本の方がイメージされている以上にビジネススピードは速め。
場所についてもあっという間に取られてしまう。
競合の進出も相次いでいる中、のんびりしていると入り込むチャンスを逃すからです。
インターン生
スタッフの教育はどのような対応をしてますでしょうか?
阿部
スタッフの教育は内装工事を進めながら、キッチンが必要であれば弊社のキッチンを使っていただきながら教育をしていただくことも行っております。
その他、初めての海外進出の方もいらっしゃいますので、外国人スタッフへの対応方法などもお伝えしています。
日本人とは結構差があるので。
インターン生
同時並行に進めていくんですね。その理由はありますか?
阿部
先程お話をさせていただいた件にプラスで、家賃も結構高いですからね。
同時に進めて工事終了と同時にできるだけ早くオープンしてもらわないともったいないのです。
インターン生
なるほど。それではそのオープンを公示するのはどのくらい前でしょうか?
阿部
オープンする直前ですね。もしくはオペレーションが落ち着いてからですね。
ベトナム人って前もって連絡をしてしまうと忘れるんですよね。(笑)
ですから宣伝もあまり早いタイミングでは行わないようにしています。
またオープニング時にお客さんがたくさん入ってきたら、オペレーションにトラブルが多発することも想像がつきます。
これではスタッフも可哀そうですよね。
慣れていない初日にお客さんが入ってくると日本人だってパニックになるでしょう?(笑)ですから、開店のタイミングではなく、追いついたところを狙って宣伝したらいいと思います。
これは業態や商品点数などによって期間は異なります。
“名義貸し”にご用心──ベトナム開業で陥りがちな落とし穴とは
インターン生
飲食店開業する人が法人設立をする際に注意するべき点を教えていただきたいです。
阿部
飲食に限りませんが、嘘の情報がけっこう横行しています。
これは外資ではできないとか言う話で名義を借して、そのまま行方不明になるとか。
こうなってしまえば法的には何もできません。
確かに名義を借りたほうが楽ですが、安直に考えないこと、自分でできることは自分でやることをおすすめしています。
インターン生
怖いですね。特に気を付けて欲しい人とかいれば教えていただきたいです。
阿部
そうですね、中年層の男性は気を付けた方がいいですね。
飲み屋街には可愛くて危険な方が結構います。笑
あげだしたら切りながないほどお聞きしていますので。
もちろん、しっかりした方、信用できる方も多くいますので、その見極めはしっかりしてください。
「1か月開業も可能」――ライセンス取得と食材調達の注意点を徹底解説
インターン生
飲食店を開業するにあたってライセンス取得は大変ですか?
阿部
私達にお任せいただければ大丈夫です。
保健所のチェックも含め、やり取りは全面的に対応させていただきます。
インターン生
それはとても助かりますね。それはどのくらいの期間で取得、設立が可能でしょうか?
阿部
会社設立期間は約2か月で、やりくり次第では最短で1か月で開業可能です。
保健所のチェックもそんなに時間はかからないです。特殊なものを輸入したい場合はご相談ください。
インターン生
開業までの工程の中で、特に注意すべき点を教えていただきたいです。
阿部
たくさんあるので一例をご紹介します。
それは食材の手配です。
仕入れを担当してくれるベトナム人のスタッフを信用してお願いしても、例えば5万円のはずのお肉が、質の落ちた3万円のお肉にこっそりと変わっていたという事例がありました。
キックバックをもらうための悪意ある場合もありますし、良かれと思って勝手な判断をしていた場合もあります。
それに気がつく人がいること。
ここはしっかりしないと、”オープン直後は美味しかったのにね”と言うお店になりかねません。
インターン生
確かに、食材の見極めは重要ですよね。
阿部
レストランや飲食店を経験したことない人は要注意ですね。
相場が分からないですし、食材の質も分からない。
だからといって未経験者ができないというわけでもありません。
定期的にチェックをする方法はありますのでご相談ください。
インターン生
そういった食材の手配JAPOは対応が可能でしょうか?
阿部
ご相談いただければ信頼できる方をお繋ぎすることは可能ですし、日本からの輸入手続きなども対応させていただけます。
時間もお金もロスしないために──経験を“買う”という選択肢
インターン生
進出支援サービスのJAPOを利用した方がいい理由があれば教えていただきたいです。
阿部
私達のサービスはボランティアではないため、お金はかかります。
ですが、経験を買うと考えたらいかがでしょうか?
私は14年ベトナムに住んでいて、その間に多くの方に騙されたり、沢山の苦労を経験してきました。
同じ体験をゼロからしたければ、自分で挑戦してもいいと思います。
ただかなり辛い思いも経験されることになると思います。
素早く成功したいのであれば私も含め、経験のある方にお金を払って経験を買う方が時間的にも費用的にもロスがないと思います。
インターン生
それでは最後にベトナムで飲食店を開業したい人に向けてメッセージをお願いいたします。
阿部
今すぐ来い。ですね。
偉そうに申し訳ありません。
先ほどお話しをしたようにビジネススピードが速いので、のんびりしている場合じゃないです。
タイミングも大切ですし、先行者利益というのも確実にありますから。
インターン生
貴重なお時間ありがとうございました!
阿部
こちらこそありがとうございました。
※上記に掲載されている情報は、掲載日(2025/05/16)現在の情報です。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がありますので、各店舗へお問い合わせください。

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